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2017年01月26日

「ドリームフィールド」「いもねこ」という場所

先週、10年近く前に
ドリームフィールドを出た子の親が挨拶に来た。

「息子は今、県外の医大に通っているんです」

スクールを出てすぐにアメリカに留学し、
帰国後大学に入って就職も決まったけれど
「やっぱり医者になりたい」と受験し直して
今は医科大学の2年生だそうだ。
しかも専門としているのは「発達障がい」。

「彼が中学で不登校になった時すぐに思い出したのが
前年4月に開校したドリームフィールドでした。」
「毎日楽しくここに通えたから、今の彼がいます。」
「ここで学んだことが今の進路の土台になっています」
「人生には『無駄』なものはないんですね。」

などとお礼をおっしゃってくださった。

とても嬉しく誇らしく感じられた。
ありがたいことこの上ない。
これからも陰ながら応援していくだろう。

でもそれは、彼自身の繋がりと環境、努力と運の結果。
自分たちの「手柄」なんてものでもない。
しかも彼にとってそれは、途中経過に過ぎない。
幸福な人生が保証されたわけでもないし
これからどんな苦難が待っているかわからない。

高校や大学、専門学校、フリースクールでも
生徒募集に力を入れているところは
こういう成功例を列挙し
HPなどで大々的に告知することが多い。
以前勤めていた高校でも
「東大合格者」とか「国公立大合格者」
とかを掲示し、横断幕を掲げたりしていた。

でも僕はそういう「学校の業績」PRは苦手だ。
ドリームフィールドでも、
スクールを出た後に
いろいろな進路を選んでいる子はいるが、
それをことさらに告知したことはない。

それは前述したような理由だけではない。
それが結果的に
「優劣」の「格付け」に繋がりかねないからだ。

本人にとって
素晴らしいことであるのは間違いないが、
「優秀な人」「成功した者」を
クローズアップして褒め称えることは、
逆に、周囲にいるコンプレックスの強い子に
ストレスを与えることになり、
傷つけることにもなりかねないからだ。

もちろん僕は
人生は「成功」とか「失敗」とか「優劣」とか
そんな短絡的で軽いものではないと思う。
一番大切なのは、
本人の中に「幸福」があるかということだ。
「優秀」とか「有名」とか「成功」というのは
人生の本質的な価値ではなく
付加的なものに過ぎないと思っている。
世間でよく言うサクセスストーリーなんて
「砂上の楼閣」に過ぎないもので、
長所も短所も含めたありのままの自分を認め
自分らしくいられることが「幸福」なんだと思う。

スクールの子らみんな
そう思えるようになれたら良いと願っている。

でも環境やこれまでの経験から、
今はそう思えない子もいる。
そういう子らの気持ちを考えれば、
「学校に戻って不登校ではなくなった」
「一般企業に就職した」
「大学に入った」
などということを
ことさらに言わないことは当然の気配りだ。

だからドリームフィールドを出て行く子らには
みんな「静かに」巣立っていってもらう。
スクールを出た子らが遊びに来るのも、
時間を限定したり、ご遠慮いただくこともある。
それもまた気配りなのだ。

とは言え、時には
「後足で砂をかける」ように去ってしまう子もいる。
根気強くサポートしてきたスタッフの気持ちが
踏みにじられ、傷つけられてしまうこともある。
フリースクールは子どもらを
好き勝手にさせる場所だと思う人もいる。
ドリームフィールドやいもねこは
「落伍者」がいる場所だと思い込む人もいる。

でもそういう人たちも
いつかは気付いてくれるはずだと
うちらスタッフは信じている。

「不登校だからこそ
自分らしい生き方ができる。」

「いじめを受けたからこそ
人の傷みを理解できる。」

「一般就労していないからこそ
心穏やかに過ごすことができる。」

「ここで人生を重ねるからこそ
人の気持ちに対して繊細でいられる。」

「さまざまな苦悩を経験しているからこそ
生きることの本当の価値を知ることができる。」

「マイノリティだからこそ
社会の矛盾や不条理に気付くことができる。」
スクールやいもねこに通う子らだけでなく
うちらスタッフ自身、
そして周りにいらっしゃるみんなが
そう思えるようにすることこそが、
「ドリームフィールド」「いもねこ」という場所の
果たすべき役割なのかもしれない。
「ドリームフィールド」「いもねこ」という場所


「ドリームフィールド」「いもねこ」という場所





Posted by いもねこ at 09:08│Comments(0)
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